ハナホウキタケの一種〔弱毒〕
ハナホウキタケの一種弱毒

8月は平年よりも日照時間が短く、雨の多い月となりました。そのためか、園地では昨年よりも多くのきのこがみられます。

なかでも目を引くのはホウキタケの仲間です。その姿は色といい形といい、まるで森のさんごのようです。

ベニナギナタダケ〔食〕
ベニナギナタダケ

宮沢賢治の童話『谷』には、ホウキタケが「はぎぼだし」という名で登場します。物語の舞台は岩手県。馬番の理助は主人公の少年に、ホウキタケがたくさん生えている場所があるから一緒に採りに行こう、と誘います。二人はきのこ採りに出かけます。

「いいか。はぎぼだしには茶いろのと白いのとあるけれど白いのは硬くて筋が多くてだめだよ。茶いろのをとれ」
(略)
理助はもう片っぱしからとって炭俵の中へ入れました。私もとりました。ところが理助のとるのはみんな白いのです。
(略)
「何をぼんやりしてるんだ。早くとれとれ」理助が云いました。
「うん、けれどお前はなぜ白いのばかりとるの」私がききました。
「おれのは漬物だよ。お前のうちじゃきのこの漬物なんか喰べないだろうから茶いろのを持って行った方がいいやな。煮て食うんだろうから」
私はなるほどと思いましたので少し理助を気の毒なような気もしながら茶いろのをたくさんとりました。
(略)
そして私たちは野原でわかれて私は大威張りで家に帰ったのです。すると兄さんが豆を叩いていましたが笑って言いました。
「どうしてこんな古いきのこばかり取って来たんだ」
「理助がだって茶いろのがいいって云ったもの」
「理助かい。あいつはずるさ。もうはぎぼだしも過ぎるな。おれもあしたでかけるかな」

宮沢賢治 「谷」より

翌春、理助は岩手を離れ北海道へ行ってしまいます。 少年にいじわるをした理助でしたが、自分が見つけたとっておきの場所を、少年に託そうとする思いもあったのかもしれませんね。

(F)