ミヤマシロチョウ 提供:赤木道紘
ミヤマシロチョウ

長野県東御市と群馬県嬬恋村にまたがる湯の丸高原はミヤマシロチョウの生息地です。 ミヤマシロチョウは、国内ではごく限られた地域でしか見ることのできない高山蝶で、近年、個体数の減少が著しく、各地で保護活動が行われています。

ミヤマシロチョウはモンシロチョウよりも大きく、白い翅に黒いすじ(翅脈)が入ります。 メスはオスよりも大きく、翅が半透明です。 ウスバシロチョウとよく似ていますが、ミヤマシロチョウのほうが触覚がやや長く、黒いすじの数が多いという違いがあります。

メギに作られたミヤマシロチョウの巣
メギに作られたミヤマシロチョウの巣

ミヤマシロチョウの幼虫はメギの葉を食べて育ちます。 メスはこの葉の裏に100~200個ほどの卵を産み付けます。 幼虫の食欲は旺盛で、2枚目の写真を見ると、巣の周辺にある葉はほとんど食べ尽くされていることが分かります。 メギは枝に鋭い刺があることから、またの名を「コトリトマラズ」ともいいます。 この刺が、幼虫を鳥などの外敵から守ってくれるのです。 我が子の身を案じる、けなげな親ごごろが見えるようですね。

観光放牧されている牛が休んでいました
観光放牧されている牛が休んでいました

ミヤマシロチョウは環境省レッドデータブックで絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。 山でこの蝶を見かけたら、捕まえずにそっと見守ってあげてください。