カラマツの黄葉
カラマツの黄葉

カラマツが見事な黄葉を見せています。 細い針状の葉が、陽を浴びて輝きながら舞い散るさまも美しく、秋の終わりを感じさせます。

春に桜吹雪あらば、秋に黄金吹雪あり──

園地を訪れた方から、そんな言葉を教わりました。 黄金吹雪舞う晩秋の鹿沢は、静かなときを過ごすのに最適な場所です。

村上山のふもとに広がるカラマツの人工林
村上山のふもとに広がるカラマツの人工林

カラマツは日本の高原を代表する樹木の一つです。 針葉樹でありながら落葉し、葉は秋遅くになると鮮やかに色づきます。 戦後、焼け野原となった国土を復興するため、日本各地で大規模な植林(拡大造林)が行われました。 カラマツは冷涼な気候を好み、よく根付き、成長も早いことから、鹿沢を含む浅間山麓一帯や、中部山岳地域で盛んに植林され、長野県では造林面積の約50%を占めるまでになりました。

ねじれや反りが出やすいカラマツは、板材としては使いにくいのですが、材質は硬く、強度があるため、鉱山の坑木や、土木工事の足場、電信柱などに利用されてきました。 ところが、植林が軌道に乗った頃、鉱山の閉山が相次ぎ、足場や電信柱も別の素材が使われるようになりました。 カラマツは時代に取り残され、利用のあてがなくなってしまったのです。

落葉が進み、森の中が明るくなってきました
落葉が進み、森の中が明るくなってきました

こうして役立たずの木になってしまったカラマツですが、近年、にわかにその消費が伸びてきています。 強度を生かして車道のガードレールに使われたり、集成材などの加工技術が進歩し、建材としても利用しやすいものになってきました。インフォメーションセンターの建物や鹿沢園地の木道にもカラマツが使われています。

時代に翻弄されながらも、常に活路を求め続けることで、未来への展望も開けてくるのかもしれません。 カラマツを眺めていると、そんなことを思ってみたくなります。