湯尻川沿いをスノーシューを履いて歩いてみました。
よく晴れた鹿沢の昼下がり。 落葉して明るくなった森の中は風もなく穏やかです。 そして、目の前に広がるのは…… まだ誰も踏んでいない新雪!
照り返す雪のまぶしさに目を細めながら、その上にせっせと自分の足跡をつけていると、突然、不思議な景色が目に飛び込んできました。
川の堰堤に積もる雪の上に、てんてんと誰かの足あとがついています。 その足あとは方向を変えたかと思うと、そこで忽然と途切れてしまっているのです。 堰堤の下をのぞいてみると、そこは深さ3メートルほどの谷になっています。 そこに足あとの続きを探してみましたが、雪焼けした目には、ただ谷底は真っ暗に見えるばかりでした。
あの足あとは誰のものでしょう? そして、いったいどこへ行ってしまったのでしょうか?
今もずっと考えているのですが、考えれば考えるほど、わかりません。 けれど、森の秘密に触れたような、なんだかとっても愉快な気持ちになれました。