鹿沢インフォメーションセンターでは、国立公園の景観を保全するため、ハルザキヤマガラシの除去活動を定期的に行なっています。
ハルザキヤマガラシはヨーロッパ原産の外来植物で、繁殖力が強く、在来植物を駆逐する可能性があるため、外来生物法により、注意が必要な外来生物に指定されています。
今年、ハルザキヤマガラシは、昨年ヤマザクラを伐採したところに特に目立って繁茂していました。伐採により環境が変わり、日当たりが良くなって、土の中に眠っていた種子が一斉に発芽したようです。
土壌の中にはいろいろな種子が眠っています。ハルザキヤマガラシなどのアブラナ科の種子の多くは寿命が短く、おおむね2、3年と言われています。ところが、 なかには非常に長い時間、土壌の中で眠っている種子もあります。
1951(昭和26)年に千葉県の落合遺跡から発掘された古代ハスの種子は、2000年の眠りから覚めて発芽し、花を咲かせました。この古代ハスは大賀ハスと名付けられました。
このように、土壌には環境の変化により種子を預けたり(休眠)引き出したり(発芽)する、たねの銀行のようなはたらきがあります。
たねの銀行のなかには、すでに絶滅してしまった植物の種子が含まれている可能性があり、この種子から絶滅種をよみがえらせることができないか、研究が進められています。
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