朝から雨の降る肌寒い日のことです。 インフォメーションセンターのロールカーテンを巻き上げていると、何かがポトリと落ちてきました。 床を見ると、そこに1匹のコウモリがいました。 外へ出たがる様子もなく、じっとしていて、ときどき「チキチキチキ・・・」と鳴いています。 背中にはふさふさした毛が生えていて、広げた翼の形は傘のように見えます。 調べてみると、どうやらアブラコウモリのようです。
コウモリは洞くつに生息しているものもありますが、このアブラコウモリは人家や建物のすき間をすみかにしていて、わたしたちにとって最も身近なコウモリのひとつです。
コウモリの前肢には小さなかぎ爪が1本あります。 これで何かにぶら下がることができますが、地面の上を機敏に動きまわることは苦手なようです。 そのかわり、空を自在に飛ぶことができ、超音波を使って夜行性の昆虫などを探し(反響定位)、捕食します。
コウモリは海などによってさえぎられた場所でも自由に移動できるめ、ほ乳類のなかで最も広い陸上地域に分布しています。
ところで、雨の日に差す傘のことをコウモリ傘と呼ぶことがありますが、これは金属の骨組みに布を張った洋傘のことを指します。 これに対して、竹の骨組みに和紙を張った和傘は蛇の目傘と呼ばれます。
梅雨の時期、傘の出番が多くなりますが、私たちの生活に使う道具には、こんなふうにいきものたちの名前がついたものが、けっこうあるものですね。
(F)