こんにちは。
2月14日の鹿沢は強い南風が吹いて、季節外れの暖かさになりました。
融雪は20cm以上になり、一足早い春の陽気です。
全国的に見ても、今年は雪の少ない冬でした。
この冬の雪の降り方について、天気図を交えながらレポートしたいと思います。
まず、ここ鹿沢に降る雪は、大きく分けて2種類の雪に区別することができます。
1つ目は、冬型の気圧配置が強まり、寒気が南下した際に降る雪。水蒸気の補給源は日本海です。
2つ目は、太平洋側からの低気圧の北上に伴って降る雪。水蒸気の補給源は太平洋です。
鹿沢では昨年の11月24日に約30cmのまとまった降雪がありました。
そのときの天気図を見てみましょう。
「高」は高気圧を示します。周りに比べて空気の圧力が高いところです。
風の流れは「高」を中心に時計回りに渦を巻きながら下降気流が吹いています。
空気でグッと地面を押さえつけるイメージです。
「低」は低気圧です。
周りに比べて空気の圧力が低いところです。
風の流れは「低」を中心に反時計回りに渦を巻きながら上昇気流が吹いています。
煙突から空気が抜けていくようなイメージです。
赤と青の線は前線を表します。
暖かい空気と冷たい空気の境目です。
青は北からの寒気、赤は南からの暖気です。
「台955」に押し上げられるように、暖かく湿った空気が北上してきました。
北には「高1052」の冷たい大陸の寒気があります。
翌24日には、前線から発達した「低998」と「低1004」が発生。大陸の高気圧が弱ければ低気圧は列島上空を北上して雨になるところですが、「高1046」の勢力が強かったため、低気圧は太平洋の沖合を進み、北海道で雪となりました。
翌25日です。このとき鹿沢は穏やかな曇り模様でしたが、北海道の札幌市では、11月の観測記録としては1953(昭和28)年以来62年ぶりとなる40cm以上の降雪量となりました。
これは、2つの低気圧が合わさって「低972」となり、急激に発達しながら通過したことが原因と考えられます。いわゆる「爆弾低気圧」です。
しかし、これ以降まとまった降雪はなく、気温は平年よりも高めに推移して次第に雪はなくなり、秋のようなお正月を迎えることになりました。
次に鹿沢でまとまった降雪があったのは1月17日から20日にかけてでした。
前線を伴う南岸低気圧が発達しながら北上します。気圧の谷には「低998」があります。
このとき鹿沢では、重く湿った雪が30~40cmほど降りました。
ここまではいつもどおりの降雪でしたが、面白いのはこの後です。
2つの低気圧が1つにならず、なおかつ横並びになりました。
この影響で本来なら縦縞模様になるはずの等圧線が大きく横に張り出しています。
北風がこの等圧線に沿って回りこみ、内陸に吹き込みました。
このため、日本海側豪雪地帯(妙高・白馬など)よりも西日本の日本海側から内陸(福井から乗鞍高原あたり)にかけて多量の降雪がありました。鹿沢も内陸の風の通り道にあったので、さらに30cmほどの降雪がありました。
その後はよくある冬型の気圧配置になります。
こうなると東日本の日本海側で雪が降ります。
このときの鹿沢の降雪は5cmでした。
そして、気象庁は今月2月14日午前、関東地方に「春一番」が吹いたと発表しました。
この時の天気図を見ると、列島に向かって強い南風が吹き込んでいることがわかります。
今回は天気図と風の流れを中心に説明をしました。
気象は非常に複雑な現象ですので、一概には言えませんが、天気図から風の流れをイメージできれば、降雪量や気温などの気象条件がおおむね理解できてくるということです。
(H)