登山者から、村上山に登る猫がいるという話を聞きました。
その話によれば、
「村上山の登山道を歩いていると、前方に猫が歩いているのが見えました。
後ろからついていくと、その猫は疲れたのか、登山道の脇で立ち止まりました。
私は猫の脇を通り過ぎ、山頂を目指しました。
それからしばらく歩き、疲れたので休憩していると、後ろからさっきの猫がやってきて、私を追い越していきました」
ということです。
その猫は途中で登山道から離れて、どこかへ行ってしまうことはなかったのでしょうか。
「その猫はずっと登山道の上を歩いていました。
私たちは、抜いたり、抜かれたりしながら、一緒に村上山に登りました」
そこで、一枚の写真を見せていただきました。
そこには、村上山へ至る登山道の上を歩く猫の姿が写っていました。
そして、この写真を見て気づくことがありました。
猫は細い塀の上などを歩くことが大好きです。
また、地面に引かれた線の上を、綱渡りのように歩くことがあります。
猫は平衡感覚に優れ、不安定な場所でも上手にバランスを保つことができます。
猫が、細いところ、狭いところ、高いところを好むのは、そこが外敵や獲物に対して安全で優位な場所になるからです。
晩秋の村上山の登山道は、 カラマツの落ち葉が敷き詰められ、ひと筋の線のように見えます。それが猫の平衡感覚を刺激したのかもしれません。
それにしても、登山道からはみ出さずに歩いているこの猫は、なんとも模範的な登山者のようではありませんか。
(F)