鹿沢インフォメーションセンターでは、7月16日に自然体験ツアー「篭ノ登山フラワーハイキング」を開催しました。
当地は昨年9月に「浅間山北麓ジオパーク」に認定されました。 これを記念し、今回のツアーでは、当ジオパークのマスコットキャラクター「あさマン」の缶バッジを参加者全員にプレゼント。ツアー中に着用してもらいました。
集合場所の池の平駐車場は3連休の中日ということもあって、車でいっぱいです。 駐車場の周辺に咲いているワレモコウやハクサンフウロの花を見たあと、午前9時過ぎに登山道の入口、コマクサ峠(2040m)から東篭ノ登山(2228m)へ向けて出発です。
今回のツアーは、全行程で標高2000m以上のところを歩きます。 標高の高いところから出発するので、樹林帯は短く、あっという間にガレ場に出ます。 高低差や歩程こそ小さいものの、足場の悪い中を移動し続けるため、体力よりもバランス感覚が求められます。
解説を交えながらのんびり登山。午前11時ごろ東篭ノ登山に到着しました。
山頂からは池の平湿原が見渡せます。 ここから見ると、池の平湿原はもともと火山の火口であったことがよくわかります。
ここから西篭ノ登山(2212m)へ向かいます。 ハクサンシャクナゲ、コマクサ、オトギリソウなどが咲いていました。
グンバイヅルは、群馬、長野、岐阜の各県でみられるほか、岩手県の八幡平で生育の報告があります。
登山道が狭くなり、シラビソの樹林帯に入ります。
シラビソは高木の中では最も寒いところに生えています。見ると樹上にホシガラスがいました。
足元にはゴゼンタチバナがたくさん咲いています。輪生する葉が6枚になると花がつきます。4枚のものには花がみられません。
さらに進むとイチヨウランが咲いています。その名のとおり葉が1枚しかありません。
そして今日の目玉、カール・フォン・リンネが愛した花、リンネソウの登場です。カール・フォン・リンネは、分類学の基礎を築いたスウェーデンの植物学者です。
リンネソウは、茎が伸びて地面を匍匐する常緑小低木で、北海道から本州の中部地方以北にかけて分布しています。花の大きさは7~9mmほどです。茎が二股に分かれて花を付けることから「メオトバナ(夫婦花)」の別名があります。
リンネソウは自家不和合性(自家受粉をしにくい性質)が強く、花粉を遠くへ飛ばす能力が高くありません。 そのため、種子ができにくく、遺伝的多様性が低い集団を形成しやすい性質があります。 遺伝的多様性が低いということは、すなわち環境の変化に敏感であることを意味します。
こんなにも小さく、弱々しく、可憐な花を養っている自然の力に驚かずにはいられません。
東篭ノ登山に引き返して昼食です。
彼方には、収穫を間近に控えた嬬恋村のキャベツ畑が広がっていました。
ここから下山の道のりです。 下っていくと、登山道脇のロープの上にルリビタキの幼鳥がとまっていました。小さな虫のようなものを得意げにくわえています。
午後2時、全員無事に下山しました。ややテクニカルなルートでしたけれど、皆さんよく歩かれました。
ご参加をいただき、ありがとうございました。またどこかの山でお会いしましょう。
(F)