小林アクティブレンジャーから花束を 受け取る黒江保護官(右)/ボランティア棟にて
小林アクティブレンジャーから花束を受け取る黒江保護官(右)/ボランティア棟にて

上信越高原国立公園万座地区の自然を守るくろレンジャーこと黒江隆太自然保護官(万座自然保護官事務所)が、9月1日付けで異動することになりました。

8月29日には休暇村鹿沢高原で、鹿沢・万座パークボランティアによる歓送会が開かれ、パークボランティアやインフォメーションセンタースタッフからは異動を惜しむ声が聞かれました。

これまでの歩みを振り返りつつ、黒江保護官にインタビューしてみました。

                    

――黒江保護官は万座地区を3年5ヶ月にわたって担当されましたが、次の異動先はどちらですか?

異動先は環境省 野生生物課 鳥獣保護管理室です。自然を離れて都心のビルに仕事場が移ります。

――具体的な仕事の内容は?

ニホンジカ対策などを担当するようです。

――なぜレンジャーになろうと思ったのですか?

初めは獣医を目指していました。ところがなかなかうまくいかず・・・進路に悩んでいるうちに、「動物の医者が難しいなら地球の医者になろう」と。

――地球の医者。なるほど。鹿沢・万座の自然についてはどんな印象を持たれましたか?

前任地が北海道だったので、自然のスケール感は小さく感じましたね。

――でも担当地区は広かった

そうですね(笑)。

――在任中に印象的だった出来事は?

谷川地区の再整備計画には力を入れましたね。今年の4月には谷川自然保護官事務所を開所することができました。

――谷川地区が広大な万座地区から独立したわけですね

ええ。これでより地域に密着した公園管理がしやすくなると思いますよ。

――黒江保護官は子どもパークレンジャーにも熱心でしたね

地元の子どもたちに、地元の自然をもっと見つめてほしい、という思いがありました。昨年度の子どもパークレンジャーでは、4回にわたり浅間山をテーマに活動しました。消しゴムで作ったスタンプを用意して、参加してくれた子どもたちの手帳に「4個集めようね!」と言って押したりしてました。

――その消しゴムスタンプには少々苦い思い出があるようですが

消しゴムスタンプは最初作るのにずいぶん苦労して・・・徹夜したんですよ。そうして作ったスタンプなんですが、子どもたちには不評で。

――子どもたちは正直ですから・・・

消しゴムスタンプはそれでも懲りずに作り続けて、今では1時間で作ることができるようになったんですよ。

――懲りない・めげない・あきらめない。それは自然を理解していくうえでも大事な姿勢ですよね。最後に鹿沢インフォメーションセンターの利用者にひと言お願いします

鹿沢には、誰もがうなるような特筆すべき自然があるわけではありません。つぶさに観察しないとなかなか見えてこないのが鹿沢の自然だと思うんです。だからこそ、丁寧な自然解説が求められるところでもあります。鹿沢を訪れる方にはぜひ、インフォメーションセンターやパークボランティアが行なっている自然解説を積極的に利用してほしいですね。

――どうもありがとうございました

(F)