シラカバの幹に大きな鈴カステラのようなものが生えています。これはカンバタケ(サルノコシカケ科・不食)という大型のきのこです。
カンバタケはシラカバやダケカンバの倒木や立木に発生します。 傘は幅10~25cmになり、形は腎臓形、表面は淡灰褐色でなめし皮のような手触りがあり、裏は微細な管孔が緻密に並んでいます。
肉はコルク質で硬く、食用にはなりませんが、端正な形が目をひきます。
1991年にアルプスの氷河で発見された約5300年前の男性のミイラ「アイスマン」の革製の袋の中には、カンバタケとツリガネタケ(サルノコシカケ科・不食)の乾燥したきのこが入っていました。
ツリガネタケはほぐした状態で火打ち石とともに見つかったので、火を起こすための火口として使われていたようです。一方、カンバタケにはひもが取り付けてありました。これがいったい何に使われていたのかよくわかっていませんが、宗教的な道具(お守り)や、膏薬(携帯救急セット)、ものを拭いたり磨くもの、などの用途が考えられます。
人間は5000年以上も前から、きのこを利用してきたんですね。